【議会報告】2020.02.21 本会議 常任委員会報告②

議会報告

【2.2.21本会議②】
府市の類似施設を統合することで、行政の無駄がなくなっているのでしょうか?
「1つになって、良かったよかった!」と思い込んでいるととんでもない結末を迎えていることになりかねません。目的は1つにすることではなく、1つにすることによる効果を出す事です。

感染症対策にも関わる公衆衛生研究所の統合に関しての多額の追加予算を要する補正予算案件について、太田晶也議員から反対討論を行いました。

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私は自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、議案第1号「令和元年度 大阪市一般会計補正予算(第3回)」及び議案第2号「令和元年度 大阪市公債費会計補正予算(第2回)」に反対の立場から討論いたします。

本件は、大阪健康安全基盤研究所の土地購入のため、当初予算約12億7千万に加えて、さらに約17億円もの補正額を積み、合計で約30億円にも上るというもので、そもそも、補正予算として極めて異例なものです。

民生保健委員会で理事者からは、「一元化によるメリット」とオウムのように同じ答弁をするだけで、何ら納得のできる回答はありませんでした。
以下、反対の理由を申し上げます。

まず初めに、市長は民生保健委員会でこの大安研の補正予算に対して「重く受け止めている」と答えられました。
近年、大阪の地価は上昇しており、地価上昇分の追加予算であれば理解できます。
しかし、その実態と理由は、不動産鑑定評価の結果、土地価格が当初想定の2倍以上になったからだという、もはや理解の範囲を超えるものであります。

そもそも、我が会派は、これまで、市立環境科学研究所は直営を堅持するべきであり、府立公衆衛生研究所との統合や独立行政法人化には反対の立場を主張してきました。
府市の地方衛生研究所は、それぞれがエリアと業務を府市で棲み分けて運営してきたのであって、決して二重行政ではありません。

皆さんご存じのとおり、全国には80を超える地方衛生研究所があります。その研究所はいずれも、公権力行使の根拠となる科学的な検査を行う役割や、施策と密接に関係する役割を担っており、この大阪の大安研以外はすべて自治体の直営で運営されています。

大阪府域内には、堺市衛生研究所、東大阪市環境衛生検査センターがあり、兵庫県内にも兵庫県立、神戸市立、姫路市立、尼崎市立と4箇所存在し、それぞれが都市格とともに、それぞれの役割分担をして存在しています。

にも拘わらず、大阪では二重行政・無駄を排除するとして強引に独法化されました。二重行政の無駄を省くといいながら、今回、大安研の一元化施設整備費だけでも120億円を超える費用が必要となります。
さらに土地代に約30億円も掛けて、府から土地を購入して、その土地を大安研に出資しようとしているのは、矛盾の極みであります。

こんなにも経費を使うなら、環科研であった天王寺センターを現地で建て替える財源に十分なりえました。
そして、府市それぞれの運営のもとで、人事交流をし、相互研究をし、それぞれ競争力を発揮して機能強化できたではありませんか。

事実、現在の2か所体制のもとでも「新型コロナウィルス検査を大安研で実施している」と、知事も市長も誇らしげにおっしゃっています。
府市それぞれで建て替えて連携すれば、もっと機動的で、しかもリスクも分散できる、素晴らしいものになると思います。

そもそも、この一元化施設整備は、何が目的なのでしょうか。それは、大阪府の「負の遺産」を解決するためです。大阪府が老朽化した旧健康科学センタービルという「負の遺産」を抱えており、大阪府自らが処理すべき未利用施設と、土地を大阪市が無理矢理に有効活用することが目的です。でしたら、府が土地・建物を提供すべきものであります。なぜ大阪府の「負の遺産」解決のために、大阪市が多額の負担を押し付けられるのでしょうか。

法定協議会の資料においても、環境科学研究の事務は広域とされています。
ならば、本市が整備費に加えて、土地代まで負担する必要は全くありません。
大阪府が全額負担すべきものです。

また、環境科学研究所の用地を売ることで、まかなえるというような不可解な議論もありました。

そもそも府へ出資する必要があるのか、あるいは百歩譲って出資する必要性があると仮に認めたとしても、その土地の持ち分は、大阪府から大阪市へ無償譲渡の上、キャッシュを動かさずに形式上、出資すれば良いのです。
また、民生保健委員会で市長は「府市一体の取り組み」と強調されていましたが、府市一体・一元化という名のもと、競争力という機能低下を招く可能性もありました。なぜならデメリットなど、ほとんど中身の議論はされず、統合・独法化に、政策主導で向かってしまったのであります。

委員会で市長は「大きな案件については土地鑑定等の専門家の意見を聞く」と答えておられましたが、それは当然のことです。

大安研は大阪市民の命を守る重要な研究所です。
やれ府市統合だ。やれ二重行政の解消だ。やれ大阪都構想だと政治パフォーマンスをする前に、目の前で感染症などの病で苦しんでいる、不安を抱えている市民に、しっかりと寄り添う市政でなければならないと申し上げておきます。

以上、縷々申し上げましたが、大阪市から財産をむしり取るだけの、この補正予算案に反対であると申し上げます。

議員各位におかれては十分にご理解のことと存じますので、良識あるご判断をお願いし、反対討論とさせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

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