【議会報告】2018.12.13 大都市税財政制度特別委員会

議会報告

12月13日、大都市税財政制度特別委員会が開催され、大阪府に移管する事務とそれに充当する財源について質疑を行いました。

特別区素案では、現在、大阪市が担っている事務から大阪府に移管される事務が428事務ありますが、それら全ての事務に対しての財源は、市町村税を税源とする財政調整財源が充てられることとなっています。

しかし、本当にそうすることが妥当なのでしょうか?

これまで大阪市は政令市として、本来は府県事務と位置付けられている事務についても、大都市特例事務など権限が委譲され処理を行ってきました。
もし仮に都構想になり、政令市の大阪市が廃止されれば、それらの事務は大阪府が行うべき府県事務となるはずであり、その事務に対する財源は府税を当てて対応するのが筋です。
しかし、特別区素案では府税ではなく、市町村税を税源とする財政調整財源が充てられることとなっています。
これまで大阪市が処理してきた大都市特例事務に関しては、一般財源所要額469億円に対して、税制上の措置額はたったの137億円です。

不足分の332億円は、住民サービスに活用すべき市税等を充当して対応してきました。

都構想になった後、大都市特例事務(府県事務)に府税が充てられないとなると、大阪市が廃止され分割された特別区には、最初の段階から住民サービスに活用すべき財源が削られた状態で予算を編成しなければならないことになります。

しかも、都構想は1,500億円を超える莫大なコストを市民の皆様が負担しなければなりません。

これで本当に都構想が掲げる身近な住民サービスの充実が図られるのか甚だ疑問です。
しかしながら副首都推進局は、都構想のような政令市から一般市になるのはこれまでに事例がないため、大都市特例事務が府県事務として戻ることは想定しがたい。
などと勝手は解釈の上に立って、428事務すべてが「大都市地域における市町村事務」であると結論付けているのです。

しかし、「大都市地域における市町村事務」は特別区設置法における明確な規定はありません。

しかも、想定しがたいと言いながら、宝くじ収益などの政令市が持つ財源だけは、政令市がなくなることを理由に、当然のように大阪府へ移管させているのです。

大阪府にとって、実に都合の良い制度設計を行っています。

特別区素案では、各特別区における住民サービスはこれまでの大阪市のサービス水準を維持するように努めるとされていますが、そのような勝手な解釈のもとに財源だけを大阪府に持っていかれては、住民サービスの低下を招くことは容易に想像できます。

特別区素案で謳っていることが絵に描いた餅になることは目に見えており、信用することはできません。
都構想で言われている、広域一元化による財政効率化効果が本当に生まれるのであれば、大阪府はその効果額を大都市特例事務などの財源に充てれば良いのです。
住民サービスに直結する特別区が行う事務に対する財源はしっかりと確保し、大阪府は残りの財源+効果額で十分に事務の処理が行えるはずです。

それが都構想の目的なのではないのでしょうか?

しかし、そのような制度設計ができないのです。
大阪府に政令指定都市の仕事を支えるだけの財政的余力がないのです。
大阪市を失くして特別区に分割し、府と市の二重行政を解消することで大きな効果を生み、豊かな住民サービスを提供すると喧伝してきた都構想の謳い文句は、何一つ証明されていません。
特別区素案の制度設計がそれを物語っています。

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