【議会報告】2018.11.21 本会議「住吉市民病院、特別区」

議会報告

 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、 報告第29号、平成29年度大阪市歳入歳出決算報告の認定に反対の立場から討論いたします。

反対の理由として、大きく2つの点で問題があると考えております。
・まず、1 点目は、住吉市民病院に関する府市共同住吉母子医療センタ一の建設費の支出についてであります。

その理由を申し上げます。
そもそも府市共同住吉母子医療センターに関しては、住吉市民病院の医療機能を引き継ぐ民間事業者の誘致を前提に、建設が進められてきました
しかし、平成29年度において、5月に個別誘致による事業予定者が辞退し、その後行われた民間事業者の誘致手続きについても頓挫しました。さらに、民間病院に移管しようとしていた100床も失い南部医療圏の地域医療や福祉医療の後退を招く、最悪の結果となり、当然、この決算は認められません。

さらには、ここに至るまでの経過をみても、多くの課題がありました。
・大阪市は、これまでの間、小児・周産期医療として地域の一次医療を担う住吉市民病院と、高度医療を担う府立急性期・総合医療センタ一、この2つの公的病院が2キロしか離れていないことで二重行政と一方的に決めつけました。そして住吉市民病院の現地建替え案よりも、機能統合案の方がコストが安いという理由で、平成24年6月に統合方針の決定を行い、以降、両病院の統合を推し進めてきました。

・その後、住吉市民病院閉鎖に反対する7万名もの署名を受けて、平成25年3月29日の市会において、住吉市民病院の廃止条例案の議決に際し、住吉市民病院が担っている産科・小児科等の機能の存続と、民間病院の早期誘致の実施に関する付帯決議が付され、同条例が可決されたものであります。
・しかしながら、3 度にわたる民間事業者誘致の失敗や、議会に対する情報の隠蔽、虚偽答弁、数々の対応の遅れは、市民の命をないがしろにする政治姿勢の顕れであり、完全なる失政であります。

議会の意思、そして一番大事な地域の思いを完全に無視する大阪市の一連の進め方と、29年度の府市共同住吉母子医療センターの建設費は到底容認できるものではありません。

続いて2点目として、副首都局の広報費に関する経費についてであります。
本来、行政の広報については、市民をミスリードすることがないように、客観的であり、公平、中立なものでなければなりません。
総合区は大阪市の内部組織の変更にすぎず、条例で決めるものです。にも関わらず、総合区に関する住民説明会の実施や説明会資料の作成に経費を費やし、総合区と異なる制度である特別区をどちらが良いか、まるで市民が住民投票で決めるかのように誤認させる状況を作りだそうとしています。そこには、政治的意図を感じざるを得ません。
よって、このような副首都推進局の広報費についても到底認めらません。

副首都推進局においては、平成29年11月から12月にかけて全区で総合区素案に関する住民説明会を開催しましたが、参加された市民の皆さんからは、「今なぜ総合区・特別区なのか、現状のままでは駄目なのか」といった意見が最も多く寄せられました。

このような市民から寄せられた意見を、副首都推進局はしっかりと受け止め、「特別区か総合区か」の二者択一ではなく、現状の24区という選択肢やほかにも選択肢があることを、市民が正しく理解できるよう伝える責務があります。

言うまでもなく、特別区設置法が規定する住民投票は、「大阪市を廃止して特別区を設置するか、今の大阪市を残すのか」この一点のみを問うものであります。
しかしながら、広報では「最終的には総合区か、特別区かについて、住民の皆さんに判断していただくj と暖昧な説明となっているため、「住民投票で、総合区か、特別区かのいずれかを選ぶ」と誤解されている市民が多くおられます。

このような大都市制度に係る広報のあり方については、市会の場で、繰り返し副首都推進局にその取組姿勢を質してきたところであります。
しかし、いつも「丁寧な説明・広報に努める」と同じ答弁を繰り返すだけで、一向に改善されません。大都市制度について不慣れな市民が誤解することのないよう配慮することもなく、客観性・公平性・中立性を旨とする広報に取り組む姿勢が、全く見られません。

行政はまさか嘘をつかないという市民の信頼をいいことに、市民をミスリード・混乱させる非常に恣意的な広報となっております。例えば、多額の税金を使って、「法定協議会だより」に、まだ何も決まっていない特別区総合区について、あたかも決定事項のような広報をするのは許せるものではありません。
市会では提案も議決もされていません。
よって総合区・特別区に関する広報の決算は到底認定できるものではありません。

そもそも、我々は都構想には反対です。
特別区の設置、いわゆる都構想について平成27年5月17日の住民投票において、これを拒否するという市民の明確な意思が示されたにも関わらず、W選挙で新たな信任を得たという無理な理屈をこねて、究極の民主主義である住民投票の結果を覆そうとするものであり、一刻も早くこのような議論には終止符を打つべきであると付言しておきます。

以上縷々申し上げましたが、附帯決議をないがしろにした府市共同住吉母子医療センターの建設費及び、客観性・公平性・中立性を著しく欠く広報活動を理由に、平成29年度一般決算には不認定という結論を申し上げます。
議員各位の良識ある正しい御判断をお願い申し上げ、我が会派の反対討論とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

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