【議会報告】2018.02.23 本会議 「大学統合案件 反対討論」

議会報告

大阪では既に可決され動き出した大阪府・大阪市の統合施設などがあります。その顛末をご存知でしょうか?
公衆衛生関連などの研究所、病院…それぞれが統合ありきで動き出したものの、具体が決められておらず多額の費用がかかったり本来の目的を達成できていない状況が見られます。

大学について、同じ過ちをおかしていいのでしょうか。大きなビジョンが示されたとは言え、実現可能性や地域の意見の聴取など、まだまだ先の見えない状況は続きます。
ましてや、住吉市民病院後地に大阪市立大学が関与する病院を移転新設しようということについては、今年になって新たに出てきた事象であり、不透明なままです。

北野妙子議員からの反対討論。その内容についても、是非ともご確認頂きたいと思います。

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私は自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、議案第144号~146号、継続中の市大・府大法人統合案件につきまして、委員会ではさらに慎重な審議が必要であると主張しましたが、本日採決するに至ったため、反対の立場から討論いたします。
本案件は、去る平成29年9月都市経済委員会に付託されて以来、理事者からの具体的な新大学のビジョンが示されないまま、当然十分に議論も尽くされていない中で、学生数1万6,000人の全国最大規模の大学統合につながる第1歩が踏み出されてしまうという局面を迎えています。
9月市会の際、様々な課題が浮き彫りとなりました。
1つ目は、それぞれの大学が現状として抱える定量的な、お金の話。つまり運営費交付金のことであります。市立大学に対して本市は、きちんと設立団体としての務めを果たすべくいわゆる基準財政需要額を上回る運営費交付金を市大に対し執行しております。それに対し、府立大学では基準財政需要額を20%以上下回る額の運営費交付金しか府から執行されておらず、台所事情が推し量られるという点であります。基準財政需要額とはこの場合、普通に大学を運営していくために標準的に必要であると国が認識している金額ですから、平成22年を起点に年々その不足額が広がっているということから考えれば、統合のパートナーとして、果たして大丈夫かということを考えざるを得ません。

2つ目は、単に法人統合をするだけでは、教育・研究面で具体的な定性的な効果が生まれるわけではないということであります。1大学をめざすために、まずは法人統合をするとのことでありましたが、法人を統合したあと、その先にある大学統合までを含めると、学部・学域の整理統合をはじめとする教務関係のシステム開発やキャンパス整備などで相当の効果が求められます。もちろん、より良い大学を作るためには非常に大切なことでありますが、現在の市大と府大が別々ではできなかった大学の機能強化・充実を、単に両大学をひっつけるだけでできるとは思えません。新大学の抽象的な将来像は、副首都推進本部会議の上山氏らによって明らかにされていますが、これらの具体化については、「新法人の理事長の下で決定されることになる」としか市長はおっしゃっておられませんでした。実現性に対しても何のお示しもありませんでした。

3つ目は、新キャンパス整備のことであります。新しい大学を作り出すことの象徴として、いくつもに分かれたキャンパスの集約には大きな意味があると、この間何度も申し上げてきました。しかし、松井知事は昨年夏の副首都推進本部会議で、それまでの発言をいともたやすく撤回し、はっきり「新たに府・市で税投入はしない。」とおっしゃいました。一方で市長は、今般の委員会で、唯一踏み込んだ答弁があるとするならば、「市内の中心地にキャンパス整備をするなら、森ノ宮地域は非常に有力な候補のうちの一つである。」とお答えになられたその1点のみであります。しかしこれとて、住吉市民病院の問題を引き合いに出すまでもなく、今申し上げた松井知事の言葉をあわせれば、何の実現可能性もありませんし、担保もありません。当該地において別の目的で行われたマーケットリサーチを行なったことを唯一の根拠においてはいますが、そのリサーチ対象の土地と、議論された土地がずれており、しかも、リサーチで出てきた15の提案の中には、大学キャンパスに関する提案もありましたが、サテライトキャンパスしか入っていません。まったく、今回賛成する根拠にはなり得ないものであります。
しかも、今回の委員会での市長答弁によれば、「新キャンパス整備は、既存のキャンパスを売り払って、土地売却益でまかなえ」とおっしゃっています。新キャンパスの税投入について、明確に発言されたわけではありません。

大学側はどう仰っているのか、現在の学生・職員などのステークホルダーの方々はどう思われているのか、お尋ねになられてのことなのでしょうか。冒頭1万6000名の学生規模になると申し上げましたが、それらの方々を加えると軽く2万人を超えます。建学135年を経過した市立大学がこのような形で、いとも簡単にいずれかのキャンパスが削減される姿は、そこに息づく方々だけでなく市立大学を地域の宝として育んでこられた多くの市民の思いや、歴史や伝統などを一顧だにせず、大阪市がそれを見放す、手離すということに他なりません。

今回の結論がちゃんとした公明正大な、かつ十分な議論の末に導き出された判断であるならば、話は別です。なぜなら、新しい大学が市民府民の多数から祝福され、納得のいく議論の末、十分な説明や、責任ある将来ビジョンを示す過程があれば、我々も賛成できたかもしません。しかし、唐突に、藪から棒にこれまでの答弁から1ミリも確証ある変化がない中での議決の結果、賛成多数となれば驚きの念を隠せません。

以上の理由から、本議案に対してわが会派としては引き続き慎重な議論を望んでおり、現段階では賛成できないものと申し上げ、委員各位におかれましてはご賛同いただきますようお願い申し上げまして、反対討論といたします。

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ちなみに同種の案件については、府議会で既に自民会派も賛成して可決をされております。我々も、決して後ろ向きなわけではありませんが、冒頭記載の様に、住吉市民病院跡地の問題を初め、詳細が決まっていない中で、今、今日、判断できるものではないとの考えを持っておりました。
公明党市議団も当初は同様の思いを持って頂いていたと感じております。(よって、委員会での採決はペンディングとなっておりました。)ところが、昨日に公明党は賛成の意向を示し、本日に委員会を開催、本会議で可決の方向となったのです。

何があったのか?議会は、市民に対して考えを示す場でもあります。委員会はもとより、最終の議決の際にも、しっかりと考えを示すことが議会の役割ではないでしょうか。

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