【見解表明】2018.01.30 都構想議論(法定協議会)に臨む基本スタンス

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昨年から議論がスタートしている大都市制度(特別区設置)協議会。法定協議会とも呼ばれる同協議会については、大阪府議会・大阪市会の各会派の代表者及び府市の両首長が委員として参加しています。
第7回目の本日は、これまでの理事者からの説明に対して初めて各会派が見解表明をし、その後、委員間討議を行うという流れで進行しました。

自民会派からは府市を代表して府議団の花谷幹事長が見解表明を行いました。内容は下記の通りです。

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これまでの法定協議会、さらには大阪府議会、大阪市会での議論を踏まえて、わが会派の現時点での意見を表明させていただきます。

昨年9月、副首都推進局から特別区素案が示されました。
知事市長は「バージョンアップした」と述べられていますが、その中身は、前回の住民投票で否決された案と、本質的に、何も変わっていません。

たとえば、制度設計の根幹となる事務分担は、前回同様、特別区の事務は、「中核市並みを基本」としており、ほとんど、その内容は変わっていません。

また、前回「規模が大きすぎる」など、様々な問題が指摘されていた一部事務組合ですが、今回も、介護保険事業などを処理する大きな一部事務組合を設置するとのことです。
住民の意向が反映されず、現実的に脱退が考えられないような一部事務組合で、前回から、何も改善されていません。そもそも、一部事務組合を作ること自体が、東京都をモデルとした都区制度の趣旨に反しており、大阪では無理だという証ではないでしょうか。

財政調整制度に関しても、前回、「府に配分された財政調整財源が、大阪市域外に配分されるのではないか」「特別区の財源が十分保障されていないのではないか」といった指摘がありましたが、今回も、根本的な制度設計は変わっていません。

特別区素案では、「府に配分された財源は、現在、市が担っている広域的な役割を果たすための事業に充当する」としていますが、これが担保されているかは疑問です。
そもそも「府が、本来市税であった財源で、市域の広域事務を行う」というなら、大阪市を存続させて、大都市行政を行うのが自然ではないでしょうか。
また、財政調整の制度設計では、システム改修経費や庁舎整備、組織体制の職員増による人件費など、特別区設置に必要な経費が織り込まれておらず、

さらに、会場建設費だけで、大阪市で、約200億円を負担するとしている万博のほか、うめきた、淀川左岸線などの大型事業については、府と特別区の負担割合が決まっておらず、財政シミュレーションの中にも入っていません。

これらからすると、副首都推進局が示した特別区の財政シミュレーションは、そもそも「相当の幅を見込む」とはしていますが、非常に荒っぽく、市民をミスリードするものです。

きちんと将来必要となる財源を見込むとともに、現状のままの財政シミュレーションを、行政が責任をもって算定し、市民に提示すべきと考えます。
このように素案では「現在の住民サービスを低下させない」としていますが、 財政調整の仕組みや、財政シミュレーションを見る限り、制度的に何ら担保されておらず、住民サービスが維持される保証はどこにもありません。

住民サービスが維持される保証がないという点では、組織体制の面も同じです。部門別の組織体制や人員配置が明示されているわけでもなく、それを検証しているふしもありません。

このように、今回示された特別区素案は、前回住民投票で否決された案と何ら本質的に変わっていません。
わずか2年半前に、住民の皆さんが否決した案と同じものを、再び市民を分断し、膨大な時間と莫大なコストをかけて、住民投票をやる意味はどこにもありません。不毛な議論はやめるべきです。

前回、特別区にしなければ発生しない効果として、「再編効果額」が示されていました。
我々は、大阪市を残したままでも生まれる「再編効果額」だと反論しましたが、維新の皆さんは都構想にしなければ生まれないとの主張でした。
当時の大都市局は、累計で、府市あわせて約3386億円と
示していましたが、今回の素案では「府市の連携により改革が進んでいるため、再編効果としては示さない」との見解です。
前回、「再編効果額」と言っていたものは、大阪市のままでも発生する効果であることが明確になりました。我々の主張が正しかったことは無視し、これは松井知事と吉村市長だからできたと、制度論以外のアピールを重ねておられます。再編効果が現状のままで生まれるのであれば、大都市制度の議論は必要ないことが明らかです。

今回の財政シミュレーションで盛り込まれている「AB項目」や「市政改革の効果額」についても、「現在の大阪市を廃止しなくても発現する効果」とのことです。
改革の効果を生み出すためには、「特別区の設置は必要ない」ことが明らかだと思います。

総合区の財政シミュレーションをもとに、平成48年度の財源活用可能額を試算しました。現状の24区が残った場合と特別区の6区D案を比較すると、ケース1で2217億円、ケース2で2584億円という巨額の財源が、特別区設置で、「浪費されること」がわかります。

このような財源は、大阪の成長や市民生活を豊かにするための住民サービスの拡充に費やすべきです。
合区を前提とした総合区案についても、「現状のままでよい」という意見が多く、住民の理解が浸透しているとはいえません。大阪市を存続させながら、どのように、住民自治の拡充や区長権限の強化を図り、政令市ならではの「高度できめ細やかな住民サービス」を発展させていくのかを、市会で、もっとじっくり腰をすえて、議論していただくべきと考えます。

最後に、これまでの議論を通じて、維新の委員の皆さんからは、素案に対する改善提案はなされず、「特別区素案の内容でよい」との意見ばかりが聞かれました。
また公明の委員の皆さんからは、「総合区の方が望ましい」という主張が展開されています。
もはや、各会派の考えは明らかになっています。法定協議会は、特別区の制度設計を行うところですので、これ以上、協議を進めても無駄ではないですか。先延ばしすることなく、すぐにでも採決を行い特別区の議論を終わらせるべきです。

以上を表明し、私たちの会派の意見表明といたします。
ご清聴ありがとうございました。

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委員間討議では、松井知事がいつもの持論を展開する時間に多くが費やされ、特別区を主張する維新と総合区を主張する公明との間の論議も活発と言えるものとは程遠い印象でした。
公明からの財政シミュレーションに対する課題など現状示されている素案や財シミュについても様々な問題点、修正を要するような点の指摘があったにも関わらず、次回は「区割りの絞り込み」との協議会を取り仕切る今井会長からの発言もあり、スケジュールありきで議論の具体とは別の次元で進行していることが非常に残念です。

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